ここ数週間、食欲の落ちたうさぎさんの診察が続いています。
食欲が落ちた場合、ほとんどのうさぎさんでは消化管運動も低下しています。もともとの原因がはっきりしない場合でも、うさぎさんの飼い主様には「毛球症」と説明する方が、分かっていただけるかもしれません。
ただ、厳密な意味での「毛球症」は舐めた毛が胃、盲腸などで貯まり、消化管の動きが落ちた状態です。消化管の動きが落ちる原因は毛以外にも色々あります(環境/食餌の変化、ストレス、不正咬合などの歯の問題、どこかの痛み、腎不全などの慢性的な内臓病etc.)。そもそも毛を舐めていたとしても、換毛時期によるものなのか、体調が悪いから毛を舐めだしたか、はっきりしないこともあります。
食欲が落ちたかなと思ったときには、以下の変化に気をつけていただき、早めに動物病院にご相談ください。
①食餌の変化や環境の変化などはないか?
➡今の時期、日中ご不在時にはエアコンによる空調管理は必須と考えます。「湿度が60%近くあると、室温25度前後で管理していても食欲の落ちる子がいる」と成書に記載があります。
➡最近、草やペレットを変えたばかりであれば、食欲の落ちた原因になっていることは十分あり得ます。可能であれば、食欲のあったときと同様のご飯に戻してみることもご検討下さい。
②毛がいつもよりも多く抜けているか?
➡抜けている場合、うさぎさんが嫌がらないのであれば、よりこまめにブラッシングをしてあげることをお勧めいたします。
③草を食べないのか?ペレットを食べないのか?
➡草を食べない方が、ペレットを食べない時よりも、より繊維質不足の影響で消化管の動きが悪くなるように感じます。
④便が小さくなってきていないか?量が減っていないか?毛が混じっていないか?軟便はないか?お尻の周囲が汚れていないか?
➡いずれも消化管運動が低下している可能性があります。
⑤飲水量が減っていないか?
➡ワンちゃんネコちゃん以上に、うさぎさんは「脱水」=「消化管運動の低下」に結びつきやすいです。私は、うさぎさんの食欲不振時には皮下補液を積極的に実施することが多いです。
⑥食べたそうなのに実際には食べないのか?歯ぎしりが目立つか?涙が増えているか?
➡歯の問題をかかえている可能性があります。
雨が降ったり止んだり、蒸し暑い日も多いですが、どうぞ家族である動物たちが気持ちよく生活できるよう、気を配っていただけますように。
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